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2025.6.29

JUBAN - Tシャツ

新作アイテム、JUBAN - Tシャツについて、Play KIMONOの原巨樹がご紹介します。

こちらの開発は、そもそも「着物の時に着る下着」を作る目的で始まりました。着物ユーザーの方はよくご存知、着物の下着である「長襦袢(ながじゅばん)」をイメージしたものです。

完成した製品は、1枚でTシャツのように着用できます。

実際に作ってみて私が最も感じたのは、日本人は和服を着なくなって、すごく損をしていたのではないかということです。

それはJUBAN - Tシャツのアップデートを通じて、和服には風土にあった良さがあったことを強く感じたからです。

こちらの商品はユニセックスで、M・Lの2サイズです。

 

 

日本人にはVネックがよく似合う

着物という衣服を因数分解して、何が着物という服を構成しているか分解していった時に、その一つがVネックであると考えました。「Vネック、即KIMONO」という最もシンプルな新しい和服です。

Vネックのことを、和装においては方領(ほうりょう)と言います。垂領(すいりょう、たりくび)なども同義です。

より正確には、長方形の衿を前で掻き合せて着ることを方領と呼びますので、一枚の布で構成する谷型の衿を方領とは呼ばないかも知れません。

ただ、着物が日本人によく似合うことの一因に、Vネックという要素はあると考えます。洋服のTシャツではクルーネックが定番ですけれども、着物を見慣れた私からすると、日本人がクルーネックのTシャツを着ると、首元がやや詰まり過ぎている感じがします。

ちなみにクルーネックのような衿は、盤領(ばんりょう、あげくび、まるえり)と呼びます。この盤領であっても、和装の盤領は、洋服の衿元よりも少しゆとりがあるなと推察しています。

 

和装のサイズ感

西洋の服は基本的に首回り、手首、足首などが狭く詰まっていて、身体にピッタリと合っていることが美しいとされます。フォーマルの洋服ほど、そうです。

西洋の乾燥した空気や高緯度地域では良いと思うのですが、日本の高温多湿な風土での快適性は低いと言わざるを得ません。

和服であるJUBAN - Tシャツは、まず身幅を広く確保してあります。後述しますが、袖付け(アームホール)付近の開放感は、着物と同等です。

袖付け7寸7分(29.5cm)、袖口7寸(26.5cm)が概ねの設計寸法です。袖口7寸は男性着物の袖口と同寸で、ここから空気の出入りを感じてもらえると思います。

 

袖付けの位置

裄における、肩幅と袖丈の割合についてです(ここでの袖丈は、アパレルにおける袖丈です)。

整体の偉人、野口晴哉さんの教えの中で、肩の位置について述べたものがあります。

それは「着物の袖付け(アームホール)の位置は、日本人が肩と腕の境目に感じる位置に近い」とのこと。

ちょっとわかりにくい説明だと思うのですが、ご自身の指で首近くから腕に向かって、「肩」と感じられる位置を探ってみてください。それが終わったら、逆に肘あたりから肩に向かって、どこまでを「腕」と感じられるか探ってみてください。

多くの人が、腕の付け根から5~10cmあたりに、肩と腕の境目を感じるのではないでしょうか。

昨今、西洋服のTシャツにもオーバーサイズの流行が長くあったので、ゆったりめのTシャツ自体は多くあります。

ただ、この肩の位置の概念が和服と異なり、西洋服は肩と腕の境目を、胴体から腕が生えている位置としているようです。それゆえ、オーバーサイズTシャツを着ても、私には袖付けの位置が肩に寄り過ぎていて、少し落ち着きません。

実際、JUBAN - Tシャツは肩周りの開放感が大きく、夏場の快適性に大きく貢献してくれます。


袖生地の使い方

なんのことやら分からないと思うのですが、縫製工場にサンプルを作ってもらった折、袖に使われている生地の向きに、呉服屋として違和感を覚えました。

と言いますのは、下写真のように、サンプルで使われた生地の緯糸方向がグレーの線の向きだったからです。

着物の場合、緯糸の向きは赤い線のようになります。呉服屋ならば当たり前に感じるところです。

こうした洋服の常識を当たり前とせず、呉服屋が思う当たり前を詰め込んで、新しい和服を創り上げていきたいと思います。

 

素 材

今回発表する素材は全部で4種類です。Play KIMONOのコンセプト通り、それぞれに上質で贅沢な生地を使用しています。

 

KAJIF社

ポリエステル68%、コットン32%で構成され、それぞれの良いところが調和した、圧倒的に快適な合成繊維です。

ストレッチ、抗菌防臭、速乾、撥水と多機能でもあります。

最初に作ったサンプルがKAJIF社の生地で、私はひと夏の9割をこのTシャツで過ごすほど、毎朝、思わず手に取っていました。

 

色展開

ホワイト、グレー、ブルー、ボルドー、ブラック

 

リネン

特別に編んでもらったリネン100%のニットです。麻素材は、夏の着物でも人気の素材です。本当を言えば、着物でよく用いられるのは苧麻(ちょま:ラミー)という麻ですが、今回はリネン素材を選びました。

リネンも、吸水性、速乾性、通気性、丈夫さなどを兼ね備えた天然素材です。

糸に硬さがあるため、強い力で引っ張るとその部分が伸びてしまうなどの弱点もありますが、濡らせば元に戻ります(普通に着用する範囲は問題ないです)。

濃い色は初期のころ、色落ちの可能性があるので、分けてのお洗濯をお願い致します。

ざっくりと編まれているので、かなりの透け感があります。

それゆえ、このリネンのJUBAN - Tシャツは風が吹き抜ける感覚を持てる真夏に最適な一枚です。

 

色展開

ベージュ、グレー、紫、ブラック

 

和紙インレイ

和紙70%、ポリエステル30%で構成されます。

インレイ生地は、スウェット生地に似ていますが、よりしっかりとして伸びにくい特徴を持ちます。

和紙には、吸水性、速乾性、消臭、抗菌、水と脂の両方を吸い取るなど、その機能性には特筆すべきものがあります。肉厚の生地でありながら、70%も和紙が入った贅沢なJUBAN - Tシャツです。スウェットよりは薄いので、夏にもお召しになれます。

 

歴 史

和紙の入った生地製造には高い技術が必要なため、最先端の素材とも思われていますが、昔から東大寺のお水取りで着用される紙衣(かみこ)として着用されている他、親鸞聖人が着ていたりと、1000年以上、衣服としても日本人に用いられて来た素材です。

現代の呉服市場でも、極めて少ない製品ですが、和紙を糸にして織り上げた紙布(しふ)などがあります。

Play KIMONOとも親和性が高い素材です。

 

季節感

かなり厚手の頼れる生地感ゆえ、昨今の長い夏を鑑みて、春から秋まで使えるTシャツに仕上がっています。天然素材の快適性に加え、各種の機能性が、幅広い季節での着用を可能にします。

近く、発売予定の羽織コートと組み合わせることで、春先から晩秋までの活用が楽しみな一枚です。

 

色展開

ホワイト、ベージュ、ブルーグレー、グリーン(写真に無し)、ブラック

 

和紙天竺

和紙60%、ポリエステル40%で構成されるニットです。

天竺編みで、和紙インレイよりも薄く編み上がっています。

 

季節感

真夏を含めて、長く楽しめるTシャツに仕上がっています。

 

色展開

ホワイト、ベージュ、グレイッシュグリーン、ブラック